2009年8月18日火曜日

映画「未来の食卓 Nos enfants nous accuseront」

フランスで話題となったドキュメンタリー映画です。

2006年、南仏のガール県ラングドック地方のバルジャック村の給食センターは、オーガニックを導入。有機栽培で育った地元の食材を使い、高齢者一人暮らしへの配食や公立・私立の4校への給食の提供をはじめました。その過程、半年間くらいで起こったことを紹介しています。

すばらしいと思ったのは、子供たちへの教育です。校内での野菜作りはどこでもやっているかもしれませんが(映画のなかでは、ナイフを使わせ、葉や茎の香りや食感を体験させています。)、調理師さんたちや先生、村長さんと子供たちが対話し、オーガニック導入の経緯や内容の説明を行っていることです。自分たちがなぜこんかことをやっているのか。

わたしたちは、社会問題を包み隠さずこどもに話せているのでしょうか?自立した「市民」を育てている様子がよくわかります。

給食の様子。日本のようにあらかじめ均等にとりわけ、みんなで牛乳を飲み15分間でご馳走様!という感じではなく、テーブルごとに配膳された大皿から自分たちが食べられる分量をとり(しかも、初めは野菜。これではみんな食べざるを得ない!)、先生が給食のことを語り、調理師さんがりんごをむきつつ子供たちと言葉を交わしながらそれを配っているという感じです。食事していますね。

村でのこの決定は、アンケートや選挙で村民の意見を聞いたわけでなく、議会で決定し、事業を始めたのですが、団体の支援を受け、専門家のデータに学び、大人、特に農家を対話を行うと同時に子供たちにも大人が行っていることをきちんと説明しています。対話の様子が何度も出てきます。原題の「Nos enfants nous accuseront」は「子供たちは私たちを告発するでしょう」。(邦題の曖昧で自己主張のなさ!)村長さんがすばらしいです。こんな政治家を持ちえた村民は幸せですね。

持続可能な「食」、環境や人間が生きつづける為に必要なことはなにか

「証拠なんか問題ではない。いま求められるのは政治的解決なんだ」

美しい自然に恵まれた村で楽しいそうに過ごす子供たち、しかしそこは、農薬がまかれ続けたことで死んだ土に囲まれ、大人だけでなく子供までもガンが増えている(医療関係者のタブーになっているそうです)世界が広がっています。それを「変えよう!」と声を出す人々。わかってはいるつもりでも制度的なしがらみから逃れることのできない人達を説得する人々。ここには確かに「未来」があります。いまを変えようとしているから。



ロングバージョンもありました。フランス語しかなかったんですが、こちらの方がよくわかります。映画では、「環境の化学汚染が人体に悪影響を及ぼす」との宣言のもとで開催されたユネスコのシンポジウムでの発言やさまざまなデータが提示されます。それに対し私たちはどう向き合うか。



村の人達が歌った曲です。Yannick Noah の Aux Arbres Citoyens

La Marseillaise からの引用「武器を持て!」を「樹々を持て!」として歌っています。

Paroles Aux Arbres Citoyens

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