2010年12月31日金曜日

渡辺京二「黒船前夜 ロシア・アイヌ・日本の三国志」



こちらは大佛次郎賞決定の報道を受けて。熊日で連載されたものです。

表題のとおり、1852年のペリー来航に先立つ、18世紀から19世紀初頭にかけて、当時はまだ未開の地であったオホーツク海を囲んだカムチャツカ半島、千島列島、蝦夷島こと北海道、樺太、ロシアを舞台に交流したロシア、アイヌそして日本の人々のエピソードを丹念に記した本です。

以前に読んだ「逝きし世の面影」と同様、書き残された文章からは当時の人々の姿がありありと浮かんできます。

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)
渡辺 京二

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レザーノフと長崎の人々とのふれあい、ゴローヴニン幽閉を巡ってのリコルドと嘉兵衛との出会い、幕府や松前藩の蝦夷地との関わり、そしてアイヌの魅力。


昔読んだ「蝦夷地別件」とは違った世界です。

蝦夷地別件〈上〉 (新潮文庫)蝦夷地別件〈上〉 (新潮文庫)
船戸 与一

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このような先達をもったことは幸せですね。現在の北方領土問題とは別世界ですが、このような歴史を知っておいていいかもしれません。偏狭なナショナリズムに陥らないためにも。


4862485065黒船前夜 ~ロシア・アイヌ・日本の三国志
渡辺 京二
洋泉社 2010-02-02

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<目次>

第1章 はんべんごろうの警告
第2章 シベリアの謝肉祭
第3章 日本を尋ねて
第4章 蝦夷大王の虚実
第5章 アイヌの天地
第6章 アイヌ叛き露使来る
第7章 幕府蝦夷地を直轄す
第8章 レザーノフの長崎来航
第9章 レザーノフの報復
第10章 ゴローヴニンの幽囚
エピローグ
あとがき

竹中治堅「参議院とは何か 1947〜2010」



大佛次郎論壇賞に決定という一報を聞いて手に取りました。

1947年の参議院創設時から鳩山内閣成立後の2010年までの政治・立法過程において行われた、参議院での法案審議、首相・内閣との関係、政党間の駆け引き、与党内議員からの支持の確保などを振り返り、参議院が実際に果たしている役割を検証し評価を行い、新たな改革論を提起した本です。

参議院での近年の法案審議過程は記憶に新しいところですが、創設後の吉田内閣時代の「紆余曲折」、参議院議長や参議院自民党議員会長の権勢、法案成立に対する強い抑止力など、二院制が政治に、特に政党政治に及ぼしている影響力を改めて認識させてくれます。

最後に選挙制度への提言があります。比例制度の廃止を現在の国会から求めるのは難しいかと思いますが、「1票の格差」是正から出発した制度改正は可能かと思います。ぜひ実現すべきですね。


4120041263参議院とは何か 1947~2010 (中公叢書)
竹中 治堅
中央公論新社 2010-05

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<目次>

序章 参議院の見方
はじめに/本書の課題と分析視角

第1章 内閣の鬼門—吉田茂と参議院
片山内閣から芦田内閣/第二次吉田内閣と第三次吉田内閣/第三次吉田内閣末期から第四次吉田内閣/吉田内閣から鳩山内閣

第2章 議長の時代—松野鶴平と重宗雄三
松野鶴平/重宗雄三

第3章 河野謙三の登場
河野謙三の叛乱/河野謙三議長と首相

第4章 五五年体制の崩壊と参議院
「ねじれ」国会の出現/連立内閣と参議院/自民党参議院議院の地位

第5章 「首相支配」と参議院—再び内閣の鬼門化
小渕恵三と参議院/参議院自民党の擡頭/小泉純一郎と参議院

第6章 再可決の時代
安倍晋三と参議院自民党/福田康夫と参議院/麻生太郎と参議院

第7章 参議院の役割
参議院の役割/参議院に対する評価/参議院の改革論について/参議院とは何か

2010年12月30日木曜日

NHK「無縁社会プロジェクト」取材班「無縁社会」

今年1月の放送は見なかったんですが、その後に放送された「無縁社会の衝撃」を見ていました。

地縁、血縁、社縁で囲まれているときには感じることはないかもしれませんが、だれもがいつか、一つ一つとこの縁から外れるときがくるのかと思います。新しい縁、関係縁をつくることは可能なんでしょうか。

読後にyoutubeで放送を見ました。映像は生の刺激を与えてくれますが、詳細が書かれた本を読むと感じ方が違います。

高野さん、若山さん、木下さん。

そして自分はどうなっていくのかな?

無縁社会無縁社会
NHK「無縁社会プロジェクト」取材班

文藝春秋 2010-11-12
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<目次>
"ひとりぼっち"が増え続ける日本
第一章 追跡「行旅死亡人」----わずか数行まとめられた人生
コラム 静かに広がる「直葬」
第二章 薄れる家族の絆----「引き取り拒否」の遺体の行方
第三章 単身化の時代----「生涯未婚」の急増
コラム 呼び寄せ高齢者
第四章 社縁が切れた後に----疑似家族に頼る人々
第五章 "おひとりさま"の女性たち----疑似家族に頼る人々
コラム 共同墓
第六章 若い世代に広がる「無縁死」の恐怖----ツイッターでつぶやく将来の不安
コラム 働き盛りの"ひきこもり"
第七章 絆を取り戻すために----二度の人生を生きた男

アルボムッレ スマナサーラ『怒らないこと—役立つ初期仏教法話1」

自分の至らなさを痛感させられる本です。内容は目次でわかりますのですべてコピペしました。

パーリ語には怒りについていくつかの言葉があるそうです。日本語でいうと、怨み、軽視する性格、張り合うこと、嫉妬、物惜しみ、反抗的、後悔、激怒。全て思い当たることばかり。

この人の本はもう少し読んでみたいです。



怒らないこと―役立つ初期仏教法話〈1〉 (サンガ新書)怒らないこと―役立つ初期仏教法話〈1〉 (サンガ新書)
アルボムッレ スマナサーラ

サンガ 2006-07-18
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  • 第1章 「怒り」とは何?
    • 「怒り」について誰も知らない
    • 誰も彼もが「怒りたい」
    • 人間は「怒り」と「愛情」で生きている
    • 「怒り」が生まれると「喜び」を失う
    • 「暗い感情」(dosa)が強くなると「怒り」(vera)になる
    • 世の中の破壊の原因は「怒り」
    • 仏教は感情を人格化しない
    • 「ゴキブリは気持ち悪い」のは自分のせい
    • 鶏にとってゴキブリはご馳走
    • 感情の物差しは人によって違う
    • 刺身は美味か?残酷か?
    • 自分を直せば、幸福に生きられる
    • 「私は正しい」と思うから怒る
    • 「私こそ唯一正しい」が人間の本音
    • 「私は間違いだらけ」だとわかると怒らない
    • 言葉は正しくない
    • 優しくしても、嫌われて当たり前
    • 努力はしても、結果は求めない
    • 怒る人々が思うこと
    • ののしられたら怒る
    • いじめられたら怒る
    • 負かされたら怒る
    • 盗まれたら怒る
    • 嫌なことを反芻してさらに不幸になる
    • くだらない妄想概念が怒りをつくる
    • エゴが妄想概念をつくる
    • エゴ→無知→汚れ→怒り
    • 怒り癖はなかなか取れない

  • 第2章 怒りが幸福を壊す
    • 拒絶のエネルギーが強烈になると…
    • 怒るのは仕方がないこと?
    • 「怒りの人生」に喜びはない
    • 人間は喜びなしでは生きられない
    • 怒りが私たちの命を脅かす
    • 「正しい怒り」は存在しない
    • 「殺してもいい」は成り立たない
    • どこまでも赦してあげてください
    • 怒りは自分を焼き尽くす「火」
    • 「怒り」が気づかないうちにからだを壊す
    • 病気がすぐ治る人、いつまでも治らない人
    • 怒る人は幸せの大泥棒
    • 怒りはすぐに伝染する
    • 支配者は危険な人種
    • 相手を倒す前に自分が壊れる
    • 「怒る人ほど頭が悪い」という真理
    • 怒り続けると「怒りそのもの」になる
    • 怒りの人間は動物以下

  • 第3章 怒らない人
    • いちばん強烈な罰、それは無視
    • 本当の「無視」は難しい
    • お釈迦さまを困らせた運転手
    • お釈迦様が与えた罰「ブラフマダンダ」
    • 自分で反省しなければ意味がない
    • 自分がした「悪いこと」を分からせる
    • 突然、人に殴られたらどうする?
    • 偉大な人ほど謙虚でいられる
    • 「面子」は醜い
    • アインシュタインの検挙
    • 怒ったら、怒らないこと
    • 脱皮のように「怒り」を捨て去る
    • 怒らない人だけが勝利者になれる
    • 壊れた鐘のようになれ
    • 怒る原因がないときは誰でも立派
    • どんな心で叱られても、怒らないこと
    • 何があってもびくともしない心をつくる

  • 第4章 怒りの治め方
    • 自分の心にある「怒り」に気づくこと
    • 怒りを「抑える」「我慢する」は大間違い
    • 怒りを観られた瞬間、怒りは消える
    • 怒ったら「自分は負け犬」と言い聞かせる
    • 動物の世界でも、強い者ほど怒らない
    • 負け犬の母親を持つ子供は不幸
    • 「怒らないこと」と「甘やかすこと」は違う
    • 本当の愛情や自信があれば話は通る
    • 「何をされても怒らない」を自分に課す
    • 正しい「平等」を理解する
    • 「生きがい」などにこだわらない
    • 人生を破壊するほどの問題なんてない
    • エゴは自分の足枷
    • 「自分は偉い」というエゴを捨てる
    • 「自分はダメな人」というエゴを捨てる
    • エゴを捨てれば自由になれる
    • 「他人に負けたくない」というエゴを捨てる
    • 自分がすべきことを精一杯するだけでよい
    • 小さな「成功」をつなげて人生をつくる
    • 怒りではなく「問題」をとらえる
    • 相手の怒りには「智慧」で勝つ
    • 攻撃には水晶玉のように対応する
    • 「きつく教えること」と怒りとは違う
    • やりたい放題の人には鏡を見せる
    • 笑えば怒りは消える
    • 笑える人ほど智慧がある
    • 智慧と理解がユーモアと幸せを生む
    • 智慧の笑い、無知の笑い
    • 「笑い」を目的にしてはいけない
    • 笑う力を鍛えると、世の中は面白い
    • おかしいことを見つけるのは簡単
    • 心を鎮めて状況を把握する
    • 怒らずにいられない人とのつき合い方
    • 他人が吐いたゴミを食べる必要はない
    • 「怒らないこと」は奇跡をもたらす
    • 平和を語る人が強者
    • 誰もが幸福に生きられる

神永正博「食える数学」

高校では理系で大学は文系だった私が学んだ数学は何だったんだろうと思わなくもないんですが、あれは数学のほんの入り口でしかなく、社会ではこんなにも「活躍」しているということがよくわかりました。もちろんその記述が理解できたかは置いておいて(笑)

目次にある「好奇心というエンジンを止めるな」という言葉とともに、数学の「おもしろさ」を子どもたちに伝えていきたいですね。


食える数学食える数学
神永 正博

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2010-11-16
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<目次>
はじめに

序章 数学の役立たず
1 高慢と偏見
大日本専門バカタイトルマッチ
2 リクツをこねるな、ツクリたまえ!
悲しい酒/わがまま博士の大冒険

第1章 役に立つ数学入門
1 代数学・整数論
因数分解についての素朴なギモン/Suicaと改札の「ないしょばなし」/インターネットでお買い物
/解けなきゃ怖くない/RSA暗号/電子署名/間違いがわかるバーコード/間違いを正すQRコード/誤り訂正符号
2 微分方程式
Tsunamiの恐ろしさ/非線形を見てみよう!/孤独なランナー ソリトンの謎/素晴らしきエンジニア魂
3 フーリエ解析
犬笛と楽器/三角関数登場/フーリエ解析でお宝さがし/波がうまく測れない/ウェーブレット
4 確率論・統計学
迷惑メールを見分けるには/ベイズの定理/ベイジアンフィルタ/統計で野球に勝つ方法/保険・年金をデザインする/アクチュアリー試験とは

第2章 どの数学が好きですか?
1 絵にならない学問
2 「数学」を定義する
数学IV/数学科数学
3 数学の耐えられない重さ
食えなくてもいいですか/数学科数学のキモ/その数学、厳密につき/絶対的な正しさということ
/なんでもかんでも一般化
4 This is IT.
情報科学の理論≒数学/日米共通のある事実
5 限りなく数学らしい数学
ご利益第二主義/数学者の意見
メモ—学習指導要領の主要部分—

第3章 数学者ではない人のための数学
1 「グラフ」という考え方
It’s a small world./人間関係が見えてしまう時代/見えないシグナル/ビジネス顕微鏡
2 サバイバルナイフとしての数学
文系こそ数学を!/野生の問題
3 教育の現場から—工学部の数学教育
マセマティカをどう使うか
講義はもっとおもしろくできる
1 ゴールの設定
2 体を動かす
3 専門科目とのリンク
おすすめ教科書

終章 アカデミックスマートからストリートスマートへ
1 見る前に跳べ!
数学は体育/止まるより進むほうがラク。/挽回のチャンスは、あちこちにある/いきなり勉強法/本物を相手にしよう
2 好奇心というエンジンを止めるな
ものわかりが悪くたっていいじゃないか/ちょっとヘンな子でも大丈夫/「学校の勉強がつまらない」という才能
3 やってみなはれ
誰でも楽しめる数学/統計は大人の総合学習/離散数学への招待/数学の美しさについて

クリスマス

この12月はいろいろと行事があったので、気がつくともう年の瀬という気分です。

さて、今年のクリスマスも例年どおり、アドベントカレンダーに毎朝玉をかけて指折りその日がくるのをまっていました。




昨年との変化は、、、ちょっとしたお菓子と一緒に赤い玉をテーブルの上に毎朝置いておくんですが、ふたりともそのお菓子にあまり執着しなくなりましたね。これまではお菓子を食べたい一心で早起きをしていたんですが、今年はそれを食べる前に本を読み始めたり、書き物をしたりと、、、アドベントは二の次のようでした(笑)

それでもサンタを信じている二人は、24日の夜、サンタを迎える準備をしていました。長旅で疲れているサンタさんに少し休んでいってもらおうと、ルイちゃんはお菓子を、レイナちゃんは熱いコーヒーをつくりラップをかけデーブルの上に置きました。そして手紙を書きました。二人の合作のようです。



サンタさんへ。
メリークリスマス、
プレゼントありがとう。
とても、うれしいよ。
サンタさん、プレゼントみるけどきょうといくから
みえるけどあそべるかはわからないけど
がんばってはやおきするね。
くつ下は、↑においてあるよ。おつかれさま。


朝起きてみると、手紙には thank you の文字、コーヒーカップは空に、そしてお菓子の包みだけが残っていました。(笑)

2010年12月11日土曜日

今井むつみ「ことばと思考」

ことば、言語、母語、その違いによって人の思考、物事の捉え方に違いがあるのか。色や助数詞、左右、時間、文法上の性、いくつかの視点でわかりやすく述べてあります。

「ことば」を話さない赤ちゃんを使った実験は興味深かったです。この時期のコミュニケーションは重要ですね。

普段、こどもと接していると、こちら(親)が発することばに、判断や見方が影響される様子、引きずられる様子がよくわかります。言い方ひとつって感じです。いろんなことばを吸収し、その使い手となってほしいですね。

ことばと思考 (岩波新書)ことばと思考 (岩波新書)
今井 むつみ

岩波書店 2010-10-21
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<目次>
序章 ことばから見る世界—言語と思考
第1章 言語は世界を切り分ける—その多様性
第2章 言語が異なれば、認識も異なるか
第3章 言語の普遍性を探る
第4章 子どもの思考はどう発達するか—ことばを学ぶなかで
第5章 ことばは認識にどう影響するか
終章 言語と思考—その関わり方の解明へ

2010年12月10日金曜日

福沢諭吉「文明論之概略」

その昔、原書は読まずに岩波新書のこちらを読み進め、途中で早々と挫折したことを思い出しました。

文明論之概略を読む 上 (岩波新書 黄版 325)文明論之概略を読む 上 (岩波新書 黄版 325)
丸山 真男

岩波書店 1986-01-20
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この年になって初めてこの「文明論之概略」を手にとり、その文脈の爽快さ、面白さに一気にひきこまれてしまいました。

ある命題を示した後、それを「証さん」といっていくつものたとえ話を繰り出し、説得を試みるというスタイル。ことばによる合意、「衆議」を「習慣」とすることを説いた、現在にも通じる普遍性。

「ビジネス書」とでも言える古典です。付箋を張りすぎました。その一部をメモします。でもやっぱり原書を通読したほうが面白いですね。

文明論之概略 (岩波文庫)文明論之概略 (岩波文庫)
福沢 諭吉 松沢 弘陽

岩波書店 1962-11
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<目次>
第1章 議論の本位を定る事
第2章 西洋の文明を目的とする事
第3章 文明の本旨を論ず
第4章 一国人民の智徳を論ず
第5章 前論の続
第6章 智徳の弁
第7章 智徳の行わるべき時代と場所とを論ず
第8章 西洋文明の由来
第9章 日本文明の由来
第10章 自国の独立を論ず

  • すベて事物を詮索するには、枝末を払いてその本源に遡り、止る所の本位を求めざるべからず。
  • 人民の会議、社友の演説、道路の便利、出版の自由等、すべてこの類の事に就て識者の眼を着する由縁も、この人民の交際を助るがために、殊にこれを重んずるものなり。
  • 高遠の議論あらざれば、後進の輩をして高遠の域に至らしむべき路なし。
  • 昔年の異端妄説は今世の通論なり、昨日の奇説は今日の常談なり。
  • 人間交際に就ては、猜疑嫉妬の心深しといえども、事物の理を談ずるときには、疑を発して不審を質すの勇なし、、、、これを半開と名く。
  • 自由の気風はただ多事争論の間にありて存するものと知るべし。
  • 物ありて然る後に倫あるなり、倫ありて然る後に物を生ずるにあらず。憶断を以て先ず物の倫を説き、その倫に由て物理を害する勿れ。
  • 開闢の初より今日に至るまで、あるいはこれを試験の世の中というて可なり。
  • 事物を詮索すれば、その働の原因を求るに付き大なる便利あり。
  • 衆論は必ずしも人の数に由らず、智力の分量に由て強弱あり、人々に智力ありといえども、習慣に由てこれを結合せざれば衆論の体裁を成さず
  • 習慣久しきに至れば第二の天然と為り、識らず知らずして事を成すべし。
  • 人の智恵は夏の草木の如く一夜の間に成長するものにあらず。たといあるいは成長することあるも、習慣に由て用るにあらざれば功を成し難し。習慣の力は頗る強盛なるものにて、これを養えばその働に際限あるべからず。遂には私有保護の人心をも圧制するに足れり。
  • 利を争うは即ち理を争うことなり。
  • 習慣を変ずること大切なりというべし。
  • 知りてこれをいわざれば際限あるべからず。あるいはたまたま十に二、三の誤解あるも、なおいわざるに優れり。二、三の誤解を憚りて、七、八の智見を塞ぐの理なし。
  • 彼も一時一処なり、此も一時一処なり。到底、世の中の事に、一以てこれを貫くべき道はあるべからず。ただ時と処とに随て進むべきのみ。
  • 今日の有様にて、世の文明を進るの具は、規則を除て他に方便あることなし。
  • 故に人間の交際に於て、あるいは政府、あるいは人民、あるいは学者、あるいは官吏、その地位の如何を問わず、ただ権力を有する者あらば、たとい智力にても腕力にても、その力と名るものについては、必ず制限なかるべからず。
  • 学者もし人民同権の本旨を探て、その議論の確実なるものを得んと欲せば、これを他に求むべからず、必ず自らその身に復して、少年の時より今日に至るまで、自身当局の経験を反顧して発明することあるべし。
  • いずれにも、その局に当たらざれば、その事の真の情実は知るべからざるものなり。

2010年12月5日日曜日

Sat, Dec 04 2010 Tweet

  • 14:10  浅草寺、にぎやかです!
  • 16:13  子供達はスカイツリーを見ながら、ローラー滑り台を楽しめます。 (@ 大横川親水公園(業平側)) http://4sq.com/b25ByS
  • 16:16  スカイツリー、よくもまあこんなところに建てましたね。
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