2009年6月28日日曜日

呉承恩「西遊記」上・中・下

子どもたちがいつか読むかな?と考え、Bookoffで購入した少年文庫の本ですが、思わず自分で読んでしまいました。小学生のころ実家にあった本を読んで以来でしょうか。三蔵、孫行者、猪八戒、沙和尚の懐かしい名前に加え、さまざまな神々、菩薩や釈迦、魑魅魍魎の妖怪たち。しかしかつて読んだ本やテレビドラマとは違い、かれらが交わす会話のおもしろさ、世俗さ、スピード感、すばらしくおもしろい本です。

花果山で生まれた美猴王が、ある祖師から孫悟空の名と七十と二通りの変化の術、觔斗雲の法を授かり、また、竜王から如意金箍棒を得て斉天大聖を名乗り、地上で我が世の春を楽しんでいたところ、玉帝のいる天宮に招かれ、ふとしたことから大暴れ。四天王、李天王、哪吨太子、二十八宿、九曜星官らをけちらした大聖でしたが二郎真君に取り押さえられ首を打たれる寸前、釈迦如来に命を助けられ五行山の下に閉じ込められてしまいます。

彼が助けられるのは三蔵のお供のため観音菩薩から声がかかったのが500年後。天宮での一日が地上での一年!緊箍呪を唱えられると締め付けられる緊箍児を頭に抱き、三蔵師父と行者、八戒、沙和尚、実は竜が姿を変えた白馬とともに経を得るため霊山の如来の元を目指します。その間、なんと14年。立ちふさがる妖怪を退治し、行く先々の土地の人達を救いながら、数々の困難を乗り越えていきます。

さて、私にとって何が残ったか。最近、読んでいる本の影響か、この師父と弟子たちのチームは、組織での仕事に取り組んでいるチームに見えてしまいます。取経という目的のため、その技と知恵と生かしながら、チーム全体を動かしていく。5人(白馬を入れて)とも、それぞれの個性があります。八戒なんかとっても曲者です。太ってて大食漢でうそつきで冗談が好きで。三蔵もそう。弱気になったりだまされたり。行者はスーパースターですが三蔵に対する真情は涙が出るほどです。

彼らの会話、ユーモアやしゃれは実に楽しく、このようなコミュニケーションはチームを維持するには不可欠なのかもしれません。

そしてそのスピード感。解決を図る上で、段取りを考え、説明し、実行に移す。失敗を恐れず最善をつくす。手に余るときには行者がかつて大暴れして知り合った天宮の神々という人脈を使い、容赦なく!つれてきてその能力を使わせる。その名声は土地神らを動かす際にも遺憾なく発揮されます。地上ではた迷惑となっている妖怪が、その神々の関係者であることも多く、これには笑ってしまいます。

これが500年前に書かれた本であることは驚きです。今回読んだ本が50年前の訳。今度は完訳本を読んでみたいです。

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