2009年12月4日金曜日

リヒテルズ直子「残業ゼロ授業料ゼロで豊かな国オランダ」


オランダの教育を受けてみたい、受けさせたい! そう思いました。

題名より副題が本の内容をよく表現しています。「日本とは何が違うのか Prosperity without stress : Dutch ways」

オランダがその歴史を通じて築き上げてきた社会の仕組み、そこに暮らす人達の考え方、社会を支えていくための教育・生活が紹介されています。

教育がいいです。居心地のいい教室で、教壇からではなく、つまり権威の権化でなく、先生と対話しながら、膨大な読書や議論で鍛錬し、現実問題を考え抜き、入試がなく、何と点数によるランク付けとくじ引き制、 学費は年25万円、、、かの地では70年代に「モデル国」という言葉がはやったそうですが、まさに今、私にとっての「モデル国」になってしまいました。

もちろん、オランダも試行錯誤、過ちの歴史の上に今日があるようです。植民地支配、ナチス。

オランダ人:生活を楽しむために働く人たち
日本人:働くために人間としてのありとあらゆる価値を犠牲にしているひとたち

まあ、いちがいにそうではないですが、、そうかもしれない、、?

読んでいて楽しいですね、この本は。


〔目次〕(抜粋)
第1章「選びながら生きる」を学ぶ子どもたち
・大人も子どもも休んで遊ぶ
・選べる学校、転校も自習
・4歳になったら小学生
・教科書のない小学校
・質問しなければ教えてくれない先生
・「わからない」といえる先生
・中学校の教科書の活字は新聞なみ
・グループ学習とシュミレーション
・やり直しのきく学歴
・入試のない大学
第2章 社会が育てる自立心
・世話より抱擁、叱るよりほめ言葉
・欲望は禁止されるより自分でコントロール
・ワケアリ、ナットクの性教育
・出産は夫婦の共同作業
・オフィスは個室か二人部屋
・障害者福祉は国の仕事
・クオリティ・ライフからクオリティ・デス
第3章 立ち上がる民とオープンソサエティ
・科学と蒐集への情熱
・強制栽培からフェアトレードへ
・類が類を呼ぶマイノリティ共存社会
・アンネと共に消えた10万人
・プロバガンダを信じるな
・タブーを乗り越えたユーモア
・市民が作る公共放送
・近隣にも隠さない自分流の生き方・恋愛
第4章 ポルダーを守る
・ポルダーモデルから生まれたワークシェアリング
・オランダの女たちはうつ病にならない?
・オランダ流儀の喧嘩の作法
・マナー警告よりはっきり苦言
・子どもの10人に6人が外国人
・みながありのままの自分でいられる社会
第5章 世界市民を目指して
・「世界のモデル国」を目指す
・旗や国歌はほどほどに
・女王が口を開くとき
終章 世界は大人の日本人を待っている

  • 親たちが自分で学校を作れる
  • 先生の役割は「やらせる」ではなく「支援する」
  • 自然に問いかける生徒たち
  • 学校はこどもたちの生活の場
  • 読書課題、面接での口述試験
  • 時事問題を語るオランダの子、現実問題から隔離される日本の子
  • 全入制とくじ引き制
  • 子どもを育てている大学生に対する養育費の支給
  • 他人の視線は気にしない
  • 「食」をめぐる日々の家族の交流と対話
  • 選択も責任も本人次第
  • 小学生の作文は恋人募集広告とラブレター?
  • 産後ケア専門ヘルパーさんの8日間在宅ケア
  • 出産とその後の新生児育児は両親である夫婦がやるのが普通
  • 福祉とは自立を支えること
  • 海乞食、抵抗、立ち上がる
  • プロヴォ
  • 日本人の謝罪は口封じと同じ
  • プライバシーを認める「民度」の高さ
  • LAKS、大人顔負けの交渉力
  • 周りの空気を読み、言いたいことを言う。何も言わずに遠慮して相手の気持ちを推し量ってばかりいたら誤解のもと
  • ポルダーモデル
  • 物事を決める前には、みんなが言いたい放題、誰はばかることなく意見を言っておくことが大事。その上でお互いが「このあたり」が落ち着くところだ、と協調的に判断
  • 日本の「根回し」とは異なる「浮揚面」
  • 外国人の子どもたちに対する支援。社会の安定、維持、発展の条件。
  • シチズンシップ教育の義務化
  • 「世界市民」を作る教育
  • 「民主的な法治国家の基本的な価値意識」
  • 表現の自由、平等、他の人への理解、寛容、自律、不寛容の拒絶、差別の拒絶
  • 国政選挙投票率8割。子ども番組で議員が質疑応答、高校生の模擬投票。ネットでのアンケート。
  • 世界の「貧富格差」解消のために
  • どの一人を取っても、その人がその人らしくしていて、誰はばかることもなく自分の意見を言える社会。だからこそ人は進んで社会に参加し、社会のために何か役に立つことをしようと行動するものだ」
  • 自分の方から進んで、自分にできることを通じて、他の人たちとともに一緒に社会を作り守っていこうとする意欲を育てることが大事

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