2009年9月23日水曜日

姜 尚中「リーダーは半歩前を歩け-金大中というヒント」

「金大中」から得ることができたヒントをもとに、これまでの自民党政治を振り返り、これからの日本政治を導いていく人に必要なリーダーシップを説いた本です。

誰もが読めるように平易なことばでゆっくりと述べられています。

リーダーシップは、生まれつき与えられた才能ではなく、「自分もやってみよう」という意欲、「こうあったらいいな」という理想、あるいは失敗や成功の経験、そういったものを通じて、基本的に誰もが獲得できるものでなければなりません。
リーダーシップのビジネス編、そして政治編。組織論にも通じる話もあります。

著者の提案「7つのリーダー・パワー」
  • 先見力:意味を付与する力、「意味への意思」、リーダーは「ビジョン」を示せ。
  • 目標設定力:具体的に何を目指すのか。
  • 動員力:存在感、「カリスマ」性
  • コミュニケーション力:自らのメッセージを人々に伝える力、説得力。リーダー・パワー。ときによってはリーダーからフォロワーに向かって一方的に発せられるパワー。自らの信念を押し通す。
  • マネジメント力:情報管理と人事管理。情報力。「敵でも使う」
  • 判断力:その源泉は知性(インテリジェンス)。現場的判断力(生もの)と人文知(干物)との両方の知性の組み合わせ
  • 決断力:「孤独」に耐える精神力
第4章の金大中との対談には、この人がここまでたどり着くことができたいくつものヒントがありました。
  • 自分の信念に従って行動してきました。国民への尊敬と愛に突き動かされて、決断してきました。
  • 「歴史と勝負する」ということが、自分が何か決断するときの、一つの基準になってきた側面もあります。多くの人は、大きな決断をするとき、歴史と勝負するのではなく、現在と勝負します。
  • 正しい言論は命をかけても守り、尊びます。
  • 「どのような人でも使える」という自信がある
  • 平和的に対話して、両方が得をする。これを、私は「ウィン・ウィン」と呼んでいます。どちらかが得をし、どちらかが損をするのではなく、両方が勝って、両方が得をする。そんな関係を作っていくのが「太陽政策」です。
  • ビル・クリントンとの対話
  • 日本も歴史に学んでください。ドイツとの対比。
  • 日本は、国民に対してきちんとした教育をしてください。
  • 「書生的な問題意識」と「商人的な現実感覚」
  • リーダーは国民と一方では手を握りながら、その手を離さないで半歩前に行く。もし国民がついてこないようなら、ちょっと立ち止まって、手を離さないで説得をする。そして国民の声を聞く。そうして意見を合わせる。
  • 「何かしようとするときは、三度考えろ」

著者の最後の提案のうちの一つ、「言葉の力」。行き着くところはここだと私も思います。

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