2009年9月20日日曜日

松村美香「ロロ・ジョングランの歌声」

新聞記者であった亡き従兄の影響を受けて育ち、その従兄が在籍した新聞社が発行している雑誌の記者になった主人公。災害時の国際ボランティアをテーマにインドネシアを訪れますが、それをきっかけに主人公が知らなかった事実がひとつひとつ明らかになっていきます。

インドネシア、スハルト時代の開発独裁、日本のODA。国際開発コンサルタントである著者がわかりやすくその仕組みを書いてくれています。ストーリーの中で登場するコンサルタント会社の技師の話は説得力がありました。関係者から話を聞きだすことでわかっていくこと。東ティモールの独立。事実は多面的です。

主人公の人間関係。ここまで繋げてあるのは驚きでした。場面設定が変わるごとに主人公の思いをまとめてあることが気になった前半部分でしたが、後半部分は一気に核心に近づいていくその勢いに引き込まれました。

登場人物たちのそれぞれの人生、そしてその中で抱えている想い、それを胸に今を生き、仕事をしている人間の気持ちを取り上げてくれた、熱い想いを伝えてくれる経済小説としてお勧めです。

最後に一言。主人公の彼氏。何であんな奴がいいのか、主人公には再考を求めたいです(笑)。

ちなみに、作中にも紹介されています。
「ロロ・ジョングランの伝説」

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