2009年9月16日水曜日

高杉良「小説 ザ・外資」

もう10年以上がたったでしょうか。日本長期信用銀行が経営破綻、「国有化」、売却、新生銀行誕生と激動していくなかで、長銀OBである主人公が、「外資」であるアメリカ企業での経験から見聞きした「ハゲタカ」ファンドの実態を告発する「モデル」小説です。

著者の膨大な調査の上に成り立っているであろうこのストーリーに自己を重ね合わせつつ時代を検証できること、このとき何があったのかをよりリアルに再構築できることなどなど、経済小説の醍醐味はいろいろかと思います。

今回読んだこの本も、主人公のもつビジネスマンとしての矜持には心打たれるものがありますが、硬い話だけではなく、主人公を取り巻く離婚、子供、不倫、男女、友情、裏切り、追従、金、食、住などなど、この社会で生きていくうえでぶつかっていく様々なことが端々に書かれてあり、読む人を引き込んでいきます。

城山三郎や高杉良さんの本を乱読したころもありました。久しぶりの「出会い」に爽快な気分です。

日本長期信用銀行 と 新生銀行 の簡単な説明は、Wikiにありました。自殺者が出る一方で、最高裁で無罪になっていく旧経営陣。あれだけの税金を投入して何だったんでしょうか。

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