2009年11月20日金曜日

田中優子「未来のための江戸学」



江戸時代にあった文化
  • アイデンティティに価値を置かず、自己と他者を同時に考えられる文化
  • 生命の関連と相互作用を感じ取る文化
  • 土と社会と己を育て与える文化
  • 「貪欲と浪費」より「配慮と節度」を重んじる価値観
近代の日本が破壊してしまったものを取り戻すための「未来のための江戸学」。

かつてこれほどの文化がこの国に存在したという事実をなぜ学んでこなかったんでしょうか。興味深い内容が満載です。

<目次>
第1章 未来につなぐべきことは何か
未来につなげてはならないこと
未来につなげたいこと 1 豊かさの本来の意味
未来につなげたいこと 2 エコロジーの認識
未来につなげたいこと 3 ボランティアの精神
第2章 江戸社会と現代社会はどこが違うのか
始末と開物の江戸時代
「おさめる」ということ
フォーチュンの見た江戸
水の都市
質素倹約という政治思想
指導者は国内産業の推進者
江戸時代の地域格差
学問は地方で育った
刑罰から見える社会像
外国文化の輸入
第3章 江戸時代はなぜできたのか
「鎖国」観にひそむもの
外交の始まり
倭寇イメージの登場
倭寇とグローバリズム
瀬戸内海賊
倭寇から海商へ
武器の国、ニッポン
東アジアへの参入
外交の時代、江戸時代
世界システムの中の日本
江戸時代が出現した理由
第4章 江戸の生活と今の生活はどこが違うのか
安心と安全の期限
フリーターと遊民
框と縁
公と私
個室のない家
江戸の照明
循環と始末
第5章 江戸時代はなぜ終わったのか
逆戻り
ロシアと日本
環太平洋の中の日本
なぜ忘れ去られたか
江戸学は未来学である

思わず目次を、、、(笑)。付箋を貼りすぎたので、、、(笑)。でもこのほうがあとで思い起こすのにはいいかな~と思ったものですから。

倭寇の歴史、江戸時代が出現した理由、グローバルの動きの中での日本の対応、当時の治世者の判断、「野蛮」な日本人、、、興味深い内容です。こんな世界だったんですね~。

1719年、朝鮮通信使の一人が日本人に語った言葉が衝撃でした。16世紀末のような行いを200年後、300年後と幾度も繰り返してきた近代の日本。歴史を学んでいない、「他者」の存在がすっぽり落ちてしまう日本人。無知は罪ですね。自戒。

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