2009年10月9日金曜日

バラク・オバマ「マイ・ドリーム-バラク・オバマ自伝」

原題はBarack Obama Jr「Dreams from My Father - A Story of Race and Inhertance」。

父の死を知らせるケニア・ナイロビからの電話。記憶に残るふれあいはたった一度、ハワイに帰ってきた一ヶ月間の再会のみ。そんな父親のことから語りだす著者の出自は、日本から出ることのない私にとって未知の世界です。

父親はケニアで生まれ、そこで結婚し子供を二人もうけながら、ハワイへ単身留学しバラクの母親と結婚。そこでも二人の子供が生まれますが、父親はケニアへ戻ってしまいます。その父親はケニアで再婚。子供が生まれます。

一方、バラクの母親は別の男性と知り合い、インドネシアへ。新しい父親からの影響。バラクはそこで少年時代をすごしますが彼の教育を考えた母親はハワイに戻ることを決断、その後、離婚。母方の祖父母のさまざまな経験。カンザスからシアトル、そしてハワイへの移住。バラクの異母兄弟たちもさまざまな人生を歩んでいます。

人種、民族、宗教、政治、生きていかなければならないこと。なんといってもアフリカ系アメリカ人であること、肌の色。こどものころからこんな葛藤、一言ではいえない想いを繰り返さなければならない、そしてそこから抜け出すことがどんなにむずかしいことか。

ロースクールに入学する直前のケニア訪問。父方の兄弟や親戚との出会いで手に入れた物語。そして父親の人生。思い出しました、Alex Haleyの「Roots」を。それを読んだときの感動そのものです。

シカゴでのコミュニティー・オーガナイザーの仕事。サウスサイドの貧しい階層から抜け出せない人々、希望のもてない子供たち。公営住宅でのアスベスト問題、教育問題、教会の力、それぞれの生活、コミュニティーのあり方。課題を見つけそれを住民が解決できるよう支援する「お世話役」。こんな仕事を経験してきた人物を大統領に選ぶことができた国民は幸せですね。

机の上に積んであったこの本にようやく手が出ました。大統領就任演説の日に集まった、ものすごい数の人達のことを思い出します。彼の話をもっと聞いてみたいです。

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