2009年3月23日月曜日

映画「L'ennemi intime いのちの戦場-アルジェリア1959-」

アフリカ・アルジェリア、19世紀から20世紀にわたり、長くフランスの植民地支配下に置かれた国が戦場となった、今から50年もたってしまった戦争がテーマです。「たってしまった」というのは、あれほどの殺戮が行われても、真実が明らかになり国家も含めてそれが共有されるまでには世代を超えるほどの時間をかけるしか方法がないのかという感覚です。最近のクメール・ルージュの裁判もそうです。あれから何年たったことか。「戦争」は、いうまでもなく過去の出来事だけではなく、今、そこで行われている人間どおしの殺戮です。主人公が戦争にのめり込んでいく様子、復讐・報復の繰り返し、一般人への見境のない虐殺、ガザやイラク、アフガン、チェチェンで繰り返されていることとなんら変わりはありません。人間がこのような戦争、復讐や殺人に解決を求めるような社会にならないよう、たえず努力する必要があると思います。

映画としては、、、前線での戦闘シーンは「プライベート・ライアン」を彷彿とさせる、リアリティーにあるれる映像です。ナパーム弾での殺害の情景にはすさまじいものがあります。アルジェリアの山岳地帯があのようなものとは知りませんでした。あのようなところで戦う意味があるのか、現在のイラク、アフガンとまるで同じ風景です。当時、前線で向き合っている兵士たちはいずれも15年前の第二次世界大戦の経験者です。戦争の世紀を生き残ってきた人間です。しかしそこは死屍累々とした人生でもあります。

クリスマスの夜、戦死した同僚が撮影した7mmフィルムを兵士たちが見るシーンは「ニュー・シネマ・パラダイス」のラストを彷彿とさせるシーンです。人間的な感情を取り戻したかのような瞬間の翌日、非情にも現実に引き戻され、幕を引きます。軍曹の最後の言葉が頭から離れません。中尉があの日死んだことは、彼にとっては幸福だろう。彼のもっていた理想主義が、どのみち彼を滅ぼしてしまっていただろう。」発狂し自殺寸前までいった彼も同僚たちの死が犬死であることを認めがたく、流浪していきます。

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