2010年1月9日土曜日

梅田望夫「ウェブ時代をゆく」


副題は、「いかに働き、いかに学ぶか」

ウェブ進化という同時代の大変化の中で、面白く楽しく、個の可能性を広げ、自立し、パブリックに、私たち一人ひとりがどういう心構えで生きていくべきか、

私にとっては、30代から40代にかけて遅ればせながら、どのように学び、「新しい」何かを身につけ、 次のステップを切り開いて新しい時代に少しでも適応していくことができるか、

いくつものヒントに満ちた本です。

この本も2年前に出版されたものですが、ようやく出会うことができました。

なんだかとってもうれしくなります。


<目次>

序章 混沌として面白い時代
一身にして二生を経る
オプティミズムを貫く理由
「群衆の叡智」元年
グーグルと「産業革命前夜」のイギリス
学習の高速道路と大渋滞
ウェブ進化と「好きを貫く」精神
リアルとネットの境界領域に可能性
フロンティアを前にしたときの精神的な構え

第一章 グーグルと「もうひとつの地球」
営利企業であることの矛盾
グーグルはなぜこんなに儲かるのか
奇跡的な組み合わせ
グーグルの二つ目の顔
「もうひとつの地球」構築の方程式
「経済のゲーム」より「知と情報のゲーム」
利便性と自由の代償としての強さを

第二章 新しいリーダーシップ
人はなぜ働くのか
まつもとゆきひろが起こした「小さな奇跡」
オープンソース成功の裏には「人生をうずめている人」あり
ウェブ2・0時代の新しいリーダー像
ウィキペディアのリーダーシップ
「知と情報のゲーム」と「経済のゲーム」の間に起きる齟齬
事業機会を失ってもコミュニティの「信頼」を
なぜネットでは「好きなことへの没頭」が続けられるのか
良きリーダーの周囲に良き「島宇宙」ができる
総表現社会参加者層の台頭

第三章 「高速道路」と「けものみち」
高速道路を猛スピードで走る少女
日本のシステムで息苦しい思いをしている人のために
「高く険しい道」をゆくには
「見晴らしのいい場所」に行け
高速道路を降りて「けものみち」を歩く
「五百枚入る名刺ホルダー」を用意しよう
「流しそうめん」型情報処理、つながった脳、働き者の時代
「けものみち力」とは
正しいときに正しい場所にいる

第四章 ロールモデル思考法
ロールモデル思考法とは何か
なぜ「経営コンサルティング」の世界に進んだか
ロールモデルの引き出しをあける
「十九世紀初頭の新聞小説」とブログ
日本の若者を応援するときのロールモデル
自分の志向性を細かく定義するプロセス
ブログと褒める思考法
生きるために水を飲むような読書、パーソナル・カミオカンデ
行動に結び付けてこそのロールモデル思考法

第五章 手ぶらの知的生産
知のゴールデンエイジ
世界中の講義・講演を瞬時に共有できる時代
十年後には「人類の過去の叡智」に誰もが自由にアクセスできる
手ぶらの知的生活
これからの知的生活には資産より時間
ネットは知恵を預けると利子をつけて返す銀行
「文系のオープンソースの道具」が欲しい
群衆の叡智を味方につける勉強法
ネット空間の日本語圏を知的に豊穣なものに

第六章 大組織VS.小組織
情報共有と信頼
やりたいと思う仕事に自発的に取り組む
情報共有と結果志向型実力主義
有事には情報共有を前提とした組織になる
小さな組織は情報共有で強靭になれる
小さな会社で働き、少しでもいい場所に移ろう
「三十歳から四十五歳」という大切な時期を無自覚に過ごすな
自らの内部にカサンドラを持て
「古い価値観」に過剰適応してはいけない

第七章 新しい職業
「新しい職業」と「古い職業」
「新しい職業」の誕生を信じる人は「ウェブ・リテラシー」を
オープンソースが生んだ新しい「雇用のかたち」
「志向性の共同体」とスモールビジネスの経営
スモールビジネスとベンチャー
ビル・ゲイツの後半生を徹底肯定する
世界の難題の解決にネットが本格的に利用される時代

終章 ウェブは自ら助くる者を助く
人工国家に似た「もうひとつの地球」ができれば
より求められる「自助の精神」
サバイバル優先、すべては実力をつけてから

あとがき


  • 「豊かな時代の究極の楽しみは「クリエイトすること」、それがWeb2.0」
  • アメリカの子供たちの変化:自由に創造的行為に取り組める可能性が誰にでも開かれた結果としての子供たちの「熱狂」、それゆえにモノを欲しがらなくなることは、「経済のゲーム」という視点からは見えにくい「知と情報のゲーム」の本質の一例
  • オープンソースコミュニティ
  • 成功するかどうかは、人生をうずめている奴が一人いるかどうか
  • 志向性を同じくするゆえにお互いに深く理解する「同好の士」たちによって自らの達成が承認・賞賛されることは、私たちの人生に訪れる最も重要な喜びの一つに違いない。ネットで「好きなことへの没頭」が続けられる理由
  • ウェブ進化により現代人に開かれた自由:環境の制約が相対化:地縁、血縁、家族、学校、会社といったリアル社会のコミュニティから、「時間の使い方」の優先順位を変えることで「志向性の共同体」へ移行する自由
  • 時間だけがすべての人に平等に与えられたリソース
  • 大組織で成功できる要素
  • ①「配置転換」など「自分の生活や時間の使い方を他者によって規定されること」を。「未知との遭遇」として心から楽しめる。
  • ②与えられた問題・課題を解決することに情熱を傾けることができる。
  • ③Whatへの「好き嫌い」やこだわりがあまり細かくなくおおらかで、一緒に働くひとへの「好き嫌い」があまりない。
  • ④「これが今から始まる新しいゲームだ」とルールを与えられたとき、そのルールの意味をすぐに習得してその世界で勝つことに邁進することに興味を覚える。
  • ⑤多くの人との力を合わせることで、個人一人ではできない大きなことができることに充実感を覚えるチームプレイヤーである。
  • ⑥「巨大」なものが粛々と動くことへの関与・貢献に達成感と充実感を感じ、「組織へのコミットメント」をいとわず、それを支える持久的体力にすぐれる。
  • ⑦組織への忠誠心や仕事における使命感のほうが、個の志向性よりも価値が高いと考える。
  • 大組織の強み
  • Only the Paranoid Survive:病的なまでに心配性な人だけが生き残る
  • Entrepreneurship:自分の頭で考え続け、どんなことがあっても絶対にあきらめない
  • Vantage point:見晴らしのいい場所に行け
  • The only way to do great work is to love what you do.
  • 「けものみち」で大切な「一人で生きるコツ」
  • in the right place at the right time
  • 進取の気性に富む、積極性、自己表現欲求、広い問題意識、高速道路の外の世界への関心、情報収集能力、行動力、積極性、勇気、スピード感、常識、明るさ、素直さ、人に好かれる性格、コミュニティ・リーダーシップ、段取り力、コミュニケーション能力、気遣い、やさしさ、柔軟性、反射神経的に判断して物事を決める力
  • ロールモデル思考法
  • 自分の志向性に正直になり「好き」を見つけるための努力を続け、組み合わせ、面倒なことでも延々と続ける勤勉さ、持続力
  • 充実した知的生活を営むためには、そこに注ぎ込み得る時間こそが稀少資源
  • ウェブリテラシーをもつ

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