2009年4月28日火曜日

渡辺京二「逝きし世の面影」

題名からしてなんとも心引かれるのですが、読み始めると夢中になってしまいました!私たち、この島々に住む人間はかつてこんな社会を持ちえたんですね~。今となっては失われ、二度とよみがえることのない文化・社会ですが、現在の社会でもっとも必要で、欲してやまない世界が広がっています。

・昔の日本人の表情を飾ったあのほほえみ
・「幸福で気さくな、不満のない国民であるように思われる」
・簡素とゆたかさ
・「貧乏人は存在するが、貧困なるものは存在しない」
・庶民の家屋がまったくあけっぴろげ
・「誰彼となく互いに挨拶をかわし、深々と身をかがめながら口もとにほほえみを絶やさない」
・「礼節によって生活をたのしいものにする」
・職人たちは「何処の地に身を置こうと自分の仕事振りが求められることを知っている」
・社会全体にみなぎるうちとけた親和感
・「日本人は何と自然を熱愛しているのだろう。何と自然の美を利用することを良く知っているのだろう・安楽で静かで幸福な生活、大それた欲望を持たず、競争もせず、穏やかな感覚と慎ましやかな物質的満足感に満ちた生活を何と上手に組み立てることを知っているのだろう」
・自分たち人間をそれほど崇高で立派なものとは思っていなかった。
・人間は鳥や獣とおなじく生きとし生けるものの仲間
・不幸や廃墟を前にして発揮される勇気と沈着
・こころの垣根の低さ
・障害者が、当然そこにあるべきものとして受け入れられ、人々と混じり合って生きていくことができた
・親和と幸福感、あたえられた生を無欲に楽しむ気楽さと諦念、自然環境と日月の運行を年中行事として生活化する仕組み

おもわず付箋を張った箇所からの抜粋ですが、とても表現できません。エピソードが満載です。一読するしかないですね。著者もあとがきで述べているのと同じように、私も一度、この世界に生きてみたいです。

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