2009年4月10日金曜日

堤未果・湯浅誠「正社員が没落する-「貧困スパイラル」を止めろ!-

日本で進行している症状と、アメリカでの現実が重なっていく有様に愕然とします。それでも流れを変えていく方法はいくらでもある、その認識と知性と勇気とを見せてくれる本かと思います。それにしてもアメリカの医療と教育で行われている「民営化・市場原理」の結果は恐ろしいです。こんなものに日本が習うとなんて真っ平です。
・リクルートの際の過去の「履歴」抹消のお勧め、アメリカでは「経験」に価値がなくなってきている。
・国際人権A規約の規定のうち、「高等教育をうける権利を保障するために、その無償化をすすめる」という条項に保留し続けているのはマダガスカルとルワンダと日本だけ。「貧困の再生産」に邁進か。
・サービス残業が違憲であることを知らない日本人。教育委員会が州議会を相手に教育予算増額を求めて訴訟(教育予算の貧困は憲法違反)を起こし、いくつもの州で予算を獲得していくアメリカ人。人間に投資しない国はやがて滅びる。
・生活保障のフリーダイヤルがあるアメリカ、「受けるべき当然の権利」であるという認識。日本で生活保護のHPや広告を見たことがある?なんか暗いし。
・日本での裁判、生活保護の行政訴訟は7割も勝っている。他の行政訴訟は1割未満。
・シーザー・チャベル「同情票を集めるわけでもなく、お情けのためでもなく、貧困撲滅の戦士になるのでもなく、ただただ黙々と組織化しろ」。仲間を集め、組織として声をあげることによって、「可哀想だから変えてやろう」というのではなく、政治家がやらざるを得ない状況に持ってゆく。
・自分たちの労働力を安売りしない。

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