2008年1月19日土曜日

岩村暢子「普通の家族がいちばん怖い 徹底調査 破滅する日本の食卓」

「フツウの家族の実態調査」(クリスマス・お正月編)ということで2000年と2005年に行った首都圏在住の子供をもつ主婦223人に対する調査結果をまとめたものです。写真や日記調査、グループインタビューを含む膨大な調査結果を整理してあります。そこから浮かび上がってくるものは何か。

この本を見て、何だか悲しくなってきました。しかし現実はこうなんでしょうね。それをきちんと調査し、観測してあり、大変貴重な本だと思います。先日、読んだ「少子社会日本」と同じで、一般の人々に関する調査を丁寧に読み込んでいくと、今の社会情勢をきちんと認識できるんだなということを感じました。

食事は文化、だと私は思っています。また、食事は家族やパートナーとをつなげる最後の砦、とも思っています。単に栄養を詰め込み、生きていくために仕方なくやっている行為のひとつではないはずです。しかし、言葉もそうですが文化は、それを引き継ぐ次の世代が意識していないと簡単に失われるものです。私たちが何を引き継いでいて、次の世代に何を伝えるのか、それは私たちが今をどう生きていくのかにかかってくることかと思います。

あと、崩壊してしまった「家族」をどうしてそこまで維持しようとするのか、「家族」を演じているのか、不思議です。経済的な問題や、世間体とか、いろいろな要素、判断がそこにはあるのでしょうか。

また、調査結果からわかったことのひとつとしてですが、語ることが現実と異なっていたり、発言が大きく矛盾したりする人、実態からみて根拠の希薄な展望をライトに語る人が、全体の半分を占めているそうです。このような人は子供たちの現実や、社会の現実をきちんと認識できているのか、という不安がコメントされています。このような家庭で生きてきた次の世代はどうなっていくんでしょうか。いろいろと考えさせる内容です。

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