2008年1月11日金曜日

映画「サラエボの花」

題名のとおりボスニア・ヘルツェエゴビナの首都サラエボが舞台。母エスマと12歳の娘サラの日常を描いています。収入の少ないエスマは、サラの修学旅行費用を工面すべく、クラブのウェイトレスとして働き出します。父親が殉教者(シャヒード)の場合、旅行代は免除されると聞いたサラは、エスマに父親の戦死証明書の提出を求めます。エスマとその親友サビーナとの友情、クラブの用心棒ペルダとの出会い、サラとその同級生サミルとの恋、そして、それぞれが背負っているあの戦争。いろんなことを考えさせる映画です。

そうかーと思ったことをいくつか。あの1992年~95年のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争からもう12年が経ち、95年に生まれた子はもう小学生となり、前の世代が残した戦争の傷跡を生活の中で経験しているんですね。また、修学旅行費用免除といった、生活保障的な制度も行われているんですね。「殉教者は免除、負傷者は減額」だったかと思います。しかし、あの紛争では「殉教者」以外の死者も多いはずです。どうなったんでしょうか。

また、ナイトクラブで流れていた音楽から、96年に公開され、当時も岩波ホールで鑑賞した映画「アンダーグラウンド」を思い出しました。あの映画の非常に刺激的な内容と、ユーゴスラビア民族音楽の強烈なブラスバンドはなかなか忘れられないです。

エスマとサビーナとの会話に「チトー」が1回だけ出てきます。サラの世代にとって、「チトー」や「ユーゴスラビア」といった言葉はどのように聞こえるのか、聞いてみたい気がしました。

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