2008年2月16日土曜日

伊東乾「ケダモノダモノ 調教と傷心のアメリカ」

アメリカのノースキャロナイラ、ファイアットヴィルにある陸軍基地フォートブラッグでのアメリカ兵へのインタビューを中心に、イラク戦争の尖兵となる若者や街の人々の心境、彼等に対する意識の潜在にまで入り込む「調教」、そしてアメリカ人のメンタリティといっとことを著者が感じるままにまとめ上げられたルポルタージュです。

それにしても、インタビューを受けた人々の、それぞれの苦悩はあるとは言いながらも、アメリカ政府の論理をしっかりと内面化し、「国家」の命ずるままに立派な「兵士」になっていく様は異様というか無残な感じがしてなりません。そんなんで本当に人を殺すんだ!という感じです。メディアや政府の情報や論理に対しては、微力ながらそれぞれの頭で、またそのネットワークで対抗してかないと、本当に足元をすくわれるような気がします。一方で、フツウの市民が合衆国憲法を大事にしている姿が印象に残りました。また、アメリカ独立戦争、フランス革命で有名なラファイエットと縁があり、アメリカの「民主主義」「軍事」に何かと象徴をもたされているこの街の歴史が面白かったです。

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