2008年4月2日水曜日

映画「4ヶ月、3週と2日」

昨年のカンヌ映画祭でパルムドールをとった、ルーマニア映画です。

舞台は1987年のチャウシェスク社会主義政権下のルーマニアのある街、大学の寮で同居する二人の大学生の一日です。情報は口コミと電話で得るしかない、物価は高く、輸入品のタバコは闇ルート、ホテルでの予約もIDカードが必要で、このIDがないとすべてのことが認められないという監視下、ルーマニア革命前夜の東欧諸国での日常です。当時、人口中絶は犯罪、妊娠4ヶ月を超えての中絶は、5年から10年の懲役刑です。(最低3人生むこと!4人を生むまでは中絶できない!という政策!)そのような状況で、秘密がもれることなく、中絶するには金も必要。主人公は同居人の中絶手術を成功させるために行動します。

なんとしても成功させようと行動する主人公、不安な状況の中でも主人公のためではなく、あくまで自分のためにはどうすればいいかで判断し、ウソとミスを繰り返す同居人、「犯罪」と「手術は自分しか出来ない」ことと引き換えに、また、金がないという二人の状況をネタに交渉し、二人にセックスと金を求め、手術を引き受ける医師、両親(父は医師で、他の職種は知性がないと思い込んでいる人。母は恐らく共産党員)の庇護下にあり頼りない主人公の彼氏。淡々と業務をこなすホテル従業員。この映画は表現力があります。カメラワークもいいです。固定したカメラは、当事者の視線となり、見る人を逃がしません。考えさせられます。

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