2010年2月26日金曜日

マーシャ・ガッセン「完全なる証明」

ポワンカレ予想の証明を達成したものの、フィールズ賞を辞退し、数学者コミュニティーや世間から連絡を絶ってしまったグリゴーリー・ペレルマン。

彼がどんな人物なのか、どのように成長してきたのか、周囲の人達からの話をもとにまとめられた評伝です。

母親や卓越した教師と友人、ソビエト体制下のさまざまな抑圧を潜り抜けて作られた教育システムに守られて、「問題」に向き合いひたすら「考える時間」を持てたこと、彼を生み出した力はそこにあるようです。

しかし、、、ソビエト時代の教育に対する政治のやり方、「ユダヤ人」への差別、いずれもイデオロギーってやつは本当に厄介です。

実際にその中に取り込まれると、はたしてどこまで抵抗できるか、自信がないです。自分で考えたことを自由に表明できる社会は貴重なものであることがよくわかります。もちろん、それができている社会かどうかは別ですが。

友人ゴロヴァノフが ペレルマンを評する際に提示した言葉「汝の道を歩め、そして人びとの語るにまかせよ」(ダンテ)

ポアンカレ予想  よくわかりません(笑)


<目次>
世紀の難問を解いた男
パラレルワールドへの招待
創造への跳躍
天才を育てた魔法使い
数学の天使
満点
幾何学の道に
世界へ
アメリカでの研究
その問題、ポアンカレ予想
証明現る
憤怒
完全なる証明

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