大佛次郎論壇賞に決定という一報を聞いて手に取りました。
1947年の参議院創設時から鳩山内閣成立後の2010年までの政治・立法過程において行われた、参議院での法案審議、首相・内閣との関係、政党間の駆け引き、与党内議員からの支持の確保などを振り返り、参議院が実際に果たしている役割を検証し評価を行い、新たな改革論を提起した本です。
参議院での近年の法案審議過程は記憶に新しいところですが、創設後の吉田内閣時代の「紆余曲折」、参議院議長や参議院自民党議員会長の権勢、法案成立に対する強い抑止力など、二院制が政治に、特に政党政治に及ぼしている影響力を改めて認識させてくれます。
最後に選挙制度への提言があります。比例制度の廃止を現在の国会から求めるのは難しいかと思いますが、「1票の格差」是正から出発した制度改正は可能かと思います。ぜひ実現すべきですね。
参議院とは何か 1947~2010 (中公叢書) 竹中 治堅 中央公論新社 2010-05 by G-Tools |
<目次>
序章 参議院の見方
はじめに/本書の課題と分析視角
第1章 内閣の鬼門—吉田茂と参議院
片山内閣から芦田内閣/第二次吉田内閣と第三次吉田内閣/第三次吉田内閣末期から第四次吉田内閣/吉田内閣から鳩山内閣
第2章 議長の時代—松野鶴平と重宗雄三
松野鶴平/重宗雄三
第3章 河野謙三の登場
河野謙三の叛乱/河野謙三議長と首相
第4章 五五年体制の崩壊と参議院
「ねじれ」国会の出現/連立内閣と参議院/自民党参議院議院の地位
第5章 「首相支配」と参議院—再び内閣の鬼門化
小渕恵三と参議院/参議院自民党の擡頭/小泉純一郎と参議院
第6章 再可決の時代
安倍晋三と参議院自民党/福田康夫と参議院/麻生太郎と参議院
第7章 参議院の役割
参議院の役割/参議院に対する評価/参議院の改革論について/参議院とは何か
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