2010年3月26日金曜日

大江正章「地域の力-食・農・まちづくり」

「人が豊かになる地域づくり」をテーマに、月刊誌で連載された記事をまとめた本です。

各地で行われ注目されている事例を先行モデルとして、「地域」にかかわる人に紹介してくれます。

「地域」と言われるとはじめはちょっと遠慮しがちです。というか「関係なく」生きていけると思っているものです。

でも、日ごろの生活や仕事の中でふと気が付くと、思わぬところで「地域」に出会います。その中で生きていることに気が付いた!という瞬間ですね。

自分の仕事や知識、エネルギーや時間をその「地域社会」と関わりを持たせることって、実は結構、楽しいことだと思います。人とのつながりができることですし、何かしら作り上げていくことができますから。

みんな地域でいろんなことやっているんだな~ということでお勧めです。


<目次>
はじめに―いま、切実に求められる先行モデル

第1章 開かれた地域自給のネットワーク―島根県雲南市木次町ほか
めざすは独立自営農民/なぜ日本で酪農か/地域での存在感と芯が通った柔軟な生き方/ビジネス型の社会性/こだわり型の信念/国産素材の美味しい「食」の職人たち/思いのつまった学校給食/非血縁・半地縁・地域共同体へ ★コラム1 エサが自給できる範囲での酪農・畜産

第2章 商店街は誰のものか―兵庫県相生市・三重県四日市市・東京都足立区
食をベースにした福祉コミュニティ/ジャスコの足元で「こらぼ屋」/多面的な活動でまちづくりを支援/やる気ある人や店を支える自治体の役割/商店街の努力が、まちを支える/地域に貢献すれば生き残れる ★コラム2 ものを売る・広げるこだわり

第3章 これがほんまの福祉です―徳島県上勝町
おばあちゃんたちの笑顔/売上げは年間500万円/どん底からの格闘/出番をつくり、気を育てる/寝たきり老人は二人だけ/Iターン・Uターンが支える地域/「好齢者」として笑顔で生きる ★コラム3 普及指導員という大切な仕事

第4章 地産地消と学校給食―愛媛県今治市
地産地消の目的は地域の自立/生産から消費まで多様な地産地消政策/すべての市民が農の担い手/学校給食はまちづくりの核/新たな地域市場の創出/有機農産物を使った給食を実現/食と世界を結ぶ教育/ホンモノの「食農共育」へ ★コラム4 「食育基本法」の功罪

第5章 北の大地に吹く新しい農の風―北海道標津町ほか
いのちを支える大規模畜産/家畜の生理にあった畜産と飼料の自給/地域に貢献する畜産業/農協陣営でいのちと農の大切さを訴える/最大の産地のクリーン農業/動き出した有機農業推進法 ★コラム5 有機農業推進法の意義と課題

第6章 四万十源流発、進化する林業の現場から―高知県梼原町ほか
日本で最初に森林認証を取得した森林組合/環境への配慮と販売面での効果/今後の課題/自然を活かす、森で愉しむ/行政とのパートナーシップと町民パワーの発揮/材を使う側からの提案/適正なマスをめざして ★コラム6 東京産の木で造った農園レストラン

第7章 公共交通はやさしい―富山県富山市・高岡市
58年ぶりの路面電車の開業/公共交通の活性化をめざして/飛躍的な変化と予想を上回る乗客の増加/まちづくりとの一体化/暮らしと移動の自由の保障が大切/路面電車存続の市民運動/赤字を前提に三セクをつくる/市民出資の実体化が必要/日本にLRTを定着させるために ★コラム7 脱・自動車優先社会へ

第8章 市民皆農のすすめ―東京都練馬区・神奈川県横浜市
畑のカルチャーセンター/前例のない体験農園を創り出す/利用者も園主も満足/農縁コミュニティの深いきずな/盛んな農業を支えてきた自治体の政策/耕す市民を育てる/コモンズとしての都市農業 ★コラム8 農業公園で有機農業

あとがき

  • 農は地域の食と切っても切れない関係
  • ①地域資源、中小規模の仕事(生業)、雇用②リーダー③Iターン(よそ者)、Uターン(出戻り)④自給的
  • みんなのもの、人と人を結ぶ場、地域の共同の力
  • 手がわり村
  • ビジネス型の社会性
  • 人が口にするものをつくる人間としてのあるべき姿
  • 生き方と仕事への倫理観と適切なビジネス感覚、いま暮らすところをふるさととして愛する気持ちと行動
  • 生活程度と食べものの質は比例
  • コミュニティレストラン「こらぼ屋」
  • やりたい者だけで始めて、モデルを見せていくほうが早い
  • 商店街の空き店舗を利用した学童保育
  • 人を元気にするには出番と評価
  • 元気な高齢者が多い理由「農業や地域活動など高齢者にも社会的役割があり、自分の存在意義が確認できる」
  • 直売所のよさは商品に気持ちをこめられること
  • 学校給食
  • 給食委員が毎日、前日に何キロ残ったかと、その日の地元産食材を誰が作ったかを生産者の写真入りで紹介する
  • 食べ残しが減ったのは、生産者訪問を行ってから
  • 生産と消費のつながり、食文化、地域の食に関するっ産業に思いをはせるような丁寧な食育
  • 民と公共の間の「顔の見える関係」
  • 両者をつなぐためには、考え方の共有が必要
  • コンパクトなまちづくりへの誘導と、歴史的景観の整備
  • 暮らしと移動の自由の保障
  • 路面電車存続の市民運動、うまくいった理由:地域の将来をどうしていくかに重点を置いて正論を積み上げていったことと、政治がらみにしなかったこと
  • 日本にLRTを メリット:誰でも利用できる、環境への影響が少ない、建築コストが安い
  • 農業は人に感動を与えられる仕事
  • 都市住民にとっての農は水道やガスと同じくライフライン
  • 最大の武器は人の力。その知識は財産
  • 農家と市民とのつながり。自治体が仲立ち
  • 地域づくりのコーディネーターとしての役割を農が果たしている

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