2011年2月16日水曜日

大山礼子「日本の国会ー審議する立法府へ」

制度の見直しを不断の努力で行わない結果、現在の状況を招いている、ということがよくわかります。国会での法案審議過程における問題点が整理され、いくつかの提言がされています。
「今、国会で何が行われているのか」
報道などで知らされる内容を一般の人間が理解する上でとても参考になる本だと思います。

4004312884日本の国会――審議する立法府へ (岩波新書)
大山 礼子
岩波書店 2011-01-21
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<目次>
はじめに

序 章 政権交代は国会を変えたか

第1章 戦後初期の国会運営—日本国憲法と国会法の枠組みの中で
1 「国権の最高機関」としての出発
2 本会議中心主義から委員会中心主義へ
3 議員の待遇改善と補佐機能強化
4 憲法施行直後の国会運営
5 アメリカ・モデルの限界と修正

第2章 空洞化する審議—五五年体制下の国会
1 日本の立法過程の特殊性
2 必要悪としての事前審査
3 国会審議の空洞化
4 小泉改革が果たせなかったもの

第3章 立法府の改革構想—日本の議論、世界の潮流
1 政府・与党関係のあり方
2 世界の潮流—議会の自律性強化
a イギリス
b フランス
3 「強い国会」と「強い内閣」の両立へ—何を変えるべきか

第4章 二院制を考える—「ねじれ国会」を超えて
1 本当は強い参議院
2 二院制の意義は何か
3 参議院をどうするか—独自性発揮への道

終 章 国会をどう変えていくのか
1 改革の理念と方法
2 改革の具体案
a 国民に開かれた国会
b 政府を監視する
c 会期制度の見直し

あとがき
参考文献

  • 国会は本来、それぞれの政党や議員が自由に意見を表明し、討議を経て妥協点を見出していく場
  • 国会審議の形骸化を招いた最大の原因が、自民党政権下で形成された与党事前審査の慣行
  • イギリス議会の立法過程
  • フランス、2008年の憲法改正、国会が法律を議決し、行政を監視し、公共政策を評価することを明文化
  • 21世紀臨調の提言 「自然な姿」 与党議員も立法府の構成員として法案の修正に努力
  • 内閣による法案修正の自由化
  • 委員会審査での自由な発言、法案の修正、委員会での審査結果の報告書の作成
  • 審議を通じて与野党の意見調整、法案修正
  • 審議の実効性と効率性、コンセンサスとリーダーシップ
  • 行政監視機能と立法機能
  • 政府に対する口頭質問、自由討議制
  • 国政調査権 事業仕分けを国会で
  • 会期の長期化と会期不継続原則の見直し
  • 審議する立法府の土台づくり

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