2010年11月9日火曜日

ロバート・ライシュ「勝者の代償−ニューエコノミーの深淵と未来」

2002年に翻訳が出された本です。

消費者として生活者として、良い・悪いの判断ではなく、利便性や利益、報酬を求める合理的な判断を積み重ねていく中で、到達し、これからも進もうとしている世界。終わりのない仕事、コミュニティの解体、家族の崩壊、選別、不平等。

2010年の今の日本もこの流れにしっかりとたどりついているような気がします。Part2のニューライフの部分はしみじみと感じました。最後にいくつかの提案がありますが、、難しいですね。既得権益を手放させるにはよほど大きな社会的合意を得るか、大きな変革を行うかでしょうか。

これまた積んでいた本。メモを残します。

勝者の代償―ニューエコノミーの深淵と未来勝者の代償―ニューエコノミーの深淵と未来
ロバート・B. ライシュ Robert B. Reich

東洋経済新報社 2002-07
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<目次>
Part 1 ニューワーク

第1章 すばらしい取引の時代
本当に欲しいもの/いかなる所からでも/最高の品質を最も安い価格で

第2章 技術革新の精神
ネオ・ラッダイト運動の誤り/より良く、速く、安くすることの必要性/技術革新の論理/ブランドの新しい役割/信用の脆さについての注意書き/大と小/粘着性を必死に追い求める/究極の粘着性/復習ー技術革新か、さもなくば死か

第3章 変人と精神分析家
変人たち/精神分析家/企業家精神全体/情報の仲介から知識の仲介へ/相互学習/誠実性と市場性に関する注意書き

第4章 忠誠心の消滅
不忠実の新論理/その帰結/私たち(アメリカ人)が海外でしていること/忠誠が報われるとき/忠誠が異常に/何に対する忠誠心か/誰に対しての責任か

第5章 雇用の終焉
雇用の起源/雇用のルール/雇用の次に来るもの/完全な一回り?/復習ー新しい働き方とは何か

Part 2 ニューライフ

第6章 人々を一生懸命働かせるもの
問題とは?/確かに、それは問題である/世帯所得の維持/「干し草」を作るということ/スピードの維持/より多くのお金で稼ぐ/一生懸命に働き生活を豊かにする

第7章 自分を売り込む
個人的な人脈がさらに重要になる理由/人脈の活用/政治的な人脈/人脈を持たないもの/名を揚げること/競争に身を投じる/勝者がすべてを得るのではない理由/市場指向の男女

第8章 ものすごく縮んでいく家族
家族の大きな変化/大圧縮/考えられているほどの道徳的危機ではない/外注される家族/最後に家族に残されたもの

9章 気配りへの支払い
なぜ人とのふれあいが大切なのか/もっと気配りを買うか買わないか/甘やかされるための支払い/気配りの介護か養護の介護か/新たな格差

第10章 商品としてのコミュニティ
新しい集団/選別メカニズム/居住地による選別/学校による選別/大学による選別/リスクによる選別/求愛動作としてのリーダーシップ/セールスマンとしての行政統治/復習ー選別されたコミュニティ

Part 3 選択

第11章 個人の選択
とにかく本当に欲しいものは何?/復習ー大きな変化/自己認識/時間の管理/簡素化

第12章 社会の選択
大きな選択/工業化時代における大きな選択/ニューエコノミーの大きな選択/新しい社会バランス/三つの会話

  • ニューワークがこれまでの仕事と最も違うことは、すべてをより良く、速く、安く行うことへの圧力が急激に高まっていることである。
  • 「最大の」企業とは、信用の経済性を、最大限に享受しているブランドであり、それが大きな利益と高い市場価値を生み出す。
  • ニューエコノミーの第1法則は、選択が広がっているということ、そして、買い手が取引相手を替えてより有利な取引を得ることがこれまでよりもずっと簡単になっているということである。第2の法則は、そのような選択の幅と切り替えの容易さが、すべての売り手をより不安定にし、そのポジションを競争者に対してより脆弱なものにしているということである。そしてこれが技術革新に拍車をかける。
  • 経済に加える実際の価値は、彼らの想像力に由来する。創造的労働者
  • 雇用の次に来るもの 安定した仕事の終わり。努力の継続の必要性。不平等の拡大。
  • すべての社会においてあまり恵まれていない人々が最も必要としているものに対する費用負担が、彼ら自身により直接的に降りかかってきている。これが選別メカニズムの究極の結果なのである。
  • 不確実性の増大、不平等の拡大、選別の強化、競争の激化
  • 新しい社会的バランス 急激な経済的ショックから人々を守る。繁栄の輪を広げること。最も必要な人に気配りが与えられること。選別メカニズムを逆にする。

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