2011年3月9日水曜日

映画「再会の食卓」

原題は「團圓」 離れていた家族、夫婦が再会する、という意味。

子育ても終わり、夫や孫、子どもたちに囲まれ、上海の古い家で暮らしていた主人公のもとに、台湾から手紙が届きます。差出人は40年以上も前に生き別れた元夫イェンション。その手紙を囲んでの冒頭のシーンは、家族の中に巻き起こすこれからのストーリーを予感させてくれます。読み上げる孫ナナ、聞き入る夫シャンミン、元夫の子である独身の長男、次女夫妻、途中で席を立つ主人公ユィアー。

国民党軍の台湾脱出の際になぜすれ違ってしまったのか、40年来の疑問と思い出を互いに語り合った後、再び2人の人生を始めようと気持ちが重なりあるユィアーとイェンション。

当事者たちの気持ちに周囲が反応します。

自らも共産党軍の兵士で戦争と政治と生活に翻弄されてきたシャンミンはこれまでの人生と残された時間を考え二人を許します。一方で、母を奪うなと次女、補償次第と次女の夫、母が決めることという長男、二人に付き添いつつ自らも恋人との距離で葛藤する孫。

それぞれが渦巻く気持ちを抱えながら共に食卓を囲む姿が印象的です。家族が、その家族であることを表現できるのは、共に食卓を囲むことでしかなくなっているのかもしれません。

数日間に何度も食卓を囲むユィアーとイェンションそしてシャンミン、長い時間を共有してきた人間同士だけが経験できる人生への思いにあふれた三人の様子に感情が何度も高まります。

再開発後の高層マンションの一室。二人にあれだけ意見した子供たちは、その言葉とは裏腹に、集まることも、食卓を囲むこともなくなります。これらの様子を眺めてきた孫のナナの、いろんなことを感じ取る様子が印象深いです。

時間が過ぎていゆき、さまざまなことが変化していく中で、人の思いも現れては消えていく。

いい映画です。



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